西アフリカ風帽子亜種、二目長編み

パリは、編み人フレンドリーな街とは言えない。
毛糸店は少ないし、毛糸は高い。
羊毛の国イギリスや寒い北欧と違って、基本的に地中海文化のフランスでは、フィッシャーマンセーターのようなぼこぼこのセーターは殆どみかけない。
時々毛糸のマフラーで素敵なものをしている人に「そのマフラー素敵ね」と言ってみると、ロンドンで買ったと返事が来ることしばしば。

パリで編み物をする唯一の利点は、昔からのファッションの都であるというところであろう。道を歩く女性たちにはオリジナルで素敵なデザインのものを着ている人々が多く、注意して観察してみれば、編み物をする際のアイデアを得ることもできる。

先日Le Bon Marche の手芸店で編み針を買っていた際、レジの私の前にアフリカ系の女性が二人並んでいた。二人とも同じ型の毛糸の帽子をかぶっていたのだが、それが見たことのないようなもので、シンプルなのにとても素敵である。
興味にかられて、帽子素敵ですね、見てもいいですか、と聞いてみたところ、二人とも帽子をとって快く見せて下さった。

なんと、ただの筒なのである。「ただまっすぐ編んで、筒にして折り込むだけ。」と二人で口々に説明しながら、何度も折り込み方を見せる。
単にメリヤス編みでまっすぐ編んで四角をつくり、両端を合わせて筒にし、そのあと折り込んでいるだけなのである。
レジの女性が「特許をとった方がいいわね」と無表情に一言。いかにもパリ人風。

もともと、西アフリカの女性は一様に布を様々なスタイルで頭にまいている。

西アフリカ諸国では、子供も大人も、女性も男性も、Bou bou (ブーブー)と呼ばれるバサっとした大きなドレスを着ている。
Bou bou の写真はこのフランス語のウィキペディアで見て下さい。
http://fr.wikipedia.org/wiki/Boubou_(robe)

このウィキペディアのページの一番下の写真の女性をご覧下さい。
西アフリカではBatik やtie dye の目を見張るような素晴らしい布地が街中で豊富に売っていて、それでbou bou を仕立てるのだが、女性の場合、必ずbou bou をつくったハギレで四角い布をとり、それを様々なスタイルで頭にまくのである。

四辺を巻いて折り込むという、そのファッションの伝統が、寒い冬のパリで、ニットとなって再現されている訳ですね。感嘆しました。

前置きが長くなったが、という訳で、今回は、二目長編みのコサージュつき黒のマフラーの残りの毛糸を使って、二目長編みで西アフリカ風帽子を作ろうと思い立つ。

まず鎖目でつくり目をする。今回は作り目を頭周りにしようと思うのだが、二目長編みのマフラーをつくった時の経験から、編むにつれどんどん編み目がゆるくなって、幅が広くなって来てしまうことが分かっている。
そこで、私の頭周りはだいたい52センチくらいなのだが、40センチくらい作り目をする。

そのあとは単調に二目長編みをしていく。

a0161826_1122710.jpg気長に湯豆腐をしながら、2時間半。だいたい高さが35センチくらいになるまで編む。このような長方形になります。最後の数段は、黒い糸が足りなくなったので、コサージュをつくった時に使ったのと同じグレーの毛糸を使った。案の定、最後は57センチまで幅が広がってしまった。












a0161826_113045.jpgそのあとは、中表にして両端をはぐ。はぎ方はネットを調べたが、棒編みの事例ばかりでてきたので、あきらめて適当に引き抜き編みをして行った。















a0161826_1133630.jpgあとは糸端を始末して、これで終わり。
筒をかぶって、前に余っている布を頭の後ろに倒す。
サイドと後ろに余っている布を内側に折り込む。
極太の毛糸を使っているので、後ろが重たくなってしまうが、Le Bon Marche で出会った女性たちは細い毛糸で編んでいて、後ろがもっとすっきりしていた。
という訳で、今回のものは「亜種」。









a0161826_1273779.jpg前からみるとこんなかんじ。
友人の英国人陶芸家エイモンの水差しに着せてみました。
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by iknit | 2010-02-11 01:28 | 帽子