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左岸の手芸店

パリのセーヌ川左岸には Le Bon Marché 以外には編み糸を売っている店は無いのかと、常々疑問に思っていたが、とうとう一軒見つけた。
それも、Le Bon Marché からは直線距離の位置にあって、歩いておそらく10分くらいのところである。

普段、職場の昼休みには、時間の許す限り、パリにいくつもあるパリ市営プールの一つに行って、25分間水泳をすることにしている。

パリの市営プールは、3ヶ月のabonnement (定期利用券)が37ユーロ(時価4470円)で、どの市営プールでも、何度でも利用可能という、すばらしい制度である。
どんなフィットネスクラブより安いこと、請け合い。私はもう、何年も利用している。
費用が安いので、沢山行けなくても自己嫌悪に陥らないし、欲張って沢山泳いで元をとろうなどという気持ちにならないところがよい。継続できる。

38もあるというパリの市営プールであるが、その殆どは小さい25メートルのプールである。
もともと米国の広々とした50メートルプールで泳いできた私としては、25メートルというはどうも物足りない。
ところが、職場のある7区から比較的近距離の15区には、50メートルプールがなんと2つある。

一つはrue Blomet にあり、もう一つはrue de l'Ingénieur Robert Keller にある。
後者は特に素晴らしいプールである。とても深いし、夏になると、屋根が開く。東京ドームみたいなかんじに屋根が開閉できるようになっている。さらに最近新装開店してきれいになったし。(昔は市営ではなくて、郵便局の労働組合のプールで、一般人はもう少し余分に会費を払わないといけなかったのであるが、ありがたいことに、パリ市が買い取った。)

私はもう長いこと、この二つの50メートルプールを頻繁に利用させて頂いている。

この市営50メートルプールの一つのそばに、その手芸店はあった。
住所は57, rue Lecourbe 75015.

15区というのは、つまらない、凡庸な住宅地という印象があるが、暮らすにはなかなかいいところである。私も以前住んでいたが、実はおいしい、価格もお手頃な穴場的レストランが沢山ある。新進気鋭の若いシェフがお店を出すのが、15区である。
Beaugrenelle にある大きいMonoprix (西友とかダイエーみたいなスーパーです。。。)は夜10時まで開いているし(他のMonoprix は9時で閉まる)、さらに50メートルの市営プールが2つもあるのである。運が良ければ、アパートからすぐ隣の7区にあるエッフェル塔が夜ピカピカするのが一晩中見られる。
さらに今回発見したのは、編み糸を売る手芸店まであるということである。
これ以上何が欲しいのか、と言えるほど、住み心地の良いのが、15区である。

15区は素晴らしいと再確認。

さて、この手芸店は、rue Blomet にある市営50メートルプールからの帰り道、ほんのわずか遠回りをした際に見つけた。Mercerie (手芸店)という非常にシンプルな看板が立っているのみ。
入ってみようと思ったが、この店は昼休みに閉まっている。
以来いつ通り過ぎても、閉まっている。

左岸の手芸店_a0161826_35225.jpg


外から見る限りでは、刺繍糸が沢山揃えてあるようで、あまり入ることに固執しなかったのであるが、先週から、ウィンドウに緑色のなんだか藁のようなものでつくった帽子が置いてある。(写真ウィンドウの右端においてあるものがそれ。)

一体この糸はなんであろう。
午後2時15分には開くはずなのであるが、2時半に通り過ぎても、ドアは閉まっている。

何度か閉まったドアの前を通り過ぎたあと、とうとう我慢できなくて、今日は仕事の後に足を延ばしてみた。
なんと、ドアが開いていた。
万歳!

レジ担当は初老の女性。
先客が二人いた。パリの手芸店では珍しく、双方とも若い女性。一人は30歳前後で、レジで何か買っていた。もう一人は18歳に満たない、男の子と見間違うような若い女性。近所に高校があるので、そこから来たのであろうか。

レジの前の女性が支払うのを待ち構え、「あの、ウィンドウに出ている糸が見たいのですが。他にも色があるんでしょうか。」と切り出す。

「ああ、それはね、あそこ。ブルーやすみれ色や茶色があるんですよ。」と、糸が置いてある棚を指し示す。
棚にはスペインのメーカーKatia の糸が並んでいた。Le Bon Marche では売っていないブランドである。
パリ人とは思えぬようないい人で、この糸はどういうものなんですか、あの糸は、あれは、と次々に聞く私に丁寧に対応して下さった。

これまでの経験によれば、基本的に、手芸店の人は、いい人たちばかり。
編み物をはじめてからの収穫の一つは、パリ人に対しての従来の偏見が拭い去られたということである。
パリ人は必ずしも皆意地悪という訳ではないのですね。

いろいろと吟味した結果、もともと興味を持った糸のKatia Paper のブルーとピンクを手に入れる。
これは「紙」の糸で、セルロース100%。Katiaの今季新製品。
基本的にはエコアンダリヤカフェ木陰みたいなもの。
スペインでも生産しているのですね。
一玉50g、115メートルで、一玉4ユーロ40セント。

左岸の手芸店_a0161826_3523838.jpgこれがブルー。
お店の人はbleu foncé (濃い青)と呼んでいた。
実際、日本で言う濃紺ではないが、ブルーグレーのような色合いである。
編み上がりが期待できる。











左岸の手芸店_a0161826_353086.jpgこれがピンク。
お店の人は「スミレ色(violet)」と言っていた。














左岸の手芸店_a0161826_49528.jpgおまけにMarie Claire の付録冊子を頂きました。
by iknit | 2010-04-17 03:50 | お店